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生産者の声
和歌山のすもも
前田 純志さん(41歳)
和歌山県西牟婁郡上富田町
すもも、梅、柑橘
水稲生産者

農家の現状や農地の風景を
広く知ってもらうことが
変化の第一歩かも知れません

日本で最も早い産地  和歌山県のすももは、全国的にも例年、出荷開始日の早さで福岡県と1、2位を争う産地です。和歌山県の中では県南部の西牟婁郡が、県内で一番早く出せる地域になります。この地域でもっとも早く実が育つハウス栽培ですももを育てている生産者は、自分を含めて3軒だけ。そのため、この園地で採れたすももが全国で最も早く出荷されることもありますね。
 この地域は梅や柑橘などの複合経営が主流の産地です。すももは梅と作業が重なることが多いので、手掛ける農家は少数派になります。それでも以前は、もっとハウス栽培を手掛けている農家がいたんですよ。しかし、落葉果樹であるすももは収穫後、8℃以下の温度で休眠させる必要があります。毎年ハウスを覆うビニールを剥がすわけですが、休眠期が終わってからビニールを再度かける際は、新しいものを用意しなければならないんです。

地域農業を守る一人として  ビニールの購入費に加え、換気扇を回すための電気代、加温にかかる燃料代など、さまざまな経費が必要です。特に現在は、30年前に比べて新規でハウスを建てるには費用が倍以上かかると言われます。それだけに、新たにハウスを建てるのは慎重にならざるを得ないわけです。私の場合、親が建ててくれたハウスが財産となって今に生きています。
 もし仮に、自分の子供に継がせたいかと問われたら、先ずは難しさを伝えるかもしれません。物価上昇分が作物価格に転嫁できるなど、農業がもっと適正に判断されるようになれば、そのような考え方も変わると思います。現役農家として、地域を守る一人として、地域農業を取り巻く現状に対しては、課題意識を持っていますね。

産地を牽引するために  実は自分の幼馴染が同じくすももの栽培を頑張っていて、今は2人で生産部会の部会長を交互に努めています。他にも生産者はいますが後継者のいない70歳以上の方ばかりで、若い生産者は僕たち2人だけです。将来は僕たち2人で産地を引っ張ることになるかもしれません。今の自分がすもも農家としてやれているのは、地域の先輩農家がここで農業を続けてくれていたからです。もし、誰も居なくて自分一人だったら辞めているでしょうし、始めてもいなかったでしょう。自分も誰かの後押しや支えになれるよう、まだまだ踏ん張っていきたいと考えています。


和歌山のすもも

 和歌山県の南部、西牟婁地域には大正末期にすももが導入されました。栽培の特徴は省力化と風対策のために考えられた低木に仕立てる棚栽培です。温暖な気候を生かして早期出荷に取り組んでおり、例年3月中旬から下旬頃にすももの白い花が春の訪れを告げます。主力品種である大石早生を皮切りに、さまざまな品種のすももが春の終わりから初夏にかけて出荷されます。生産者の前田さんは「食べる前に冷蔵庫で少し冷やすのがお勧めです」と語ります。

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