全農
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生産者の声
和歌山の新しょうが
山本 修也さん(53歳)
和歌山県和歌山市布引
新しょうが、大根、
人参、ほうれん草、
春菊生産者

地元の農産物が
食べた人の心を動かす光景が
農家人生の原点です

地元ブランドを実感した日  農家を継ぐ前は、段ボールメーカーで営業の仕事をしていました。実家では親父が農地を守っており、30代半ばにもなると「いつかは継がないといけないだろう...」と漠然と思うようになりました。ある時、仕事関係の懇親会で関連会社の方々と一緒に居酒屋に行ったんです。そこで出てきた大根サラダを、皆さんが「美味しい」「美味しい」とお代わりするほど気に入って食べていました。でも、自分が食べると「普通の大根の味。何が違うんだろう?」という感想しか持てません。店を出る時に「布引大根」と書かれた段ボールが軒先にあるのを目にして、「あぁ、自分がいつも食べている地元の大根だったか」と合点がいきました。布引大根が市場で高い評価を得ていることや、ブランド産品として認識されているのはもちろん知っていましたが、初めて凄さや価値を実感できたんです。その瞬間に心が決まって、家業を継ぐことにしました。

地元にしかない優れた個性  私の畑がある布引地区は、大根のほかにも新しょうがや人参など、質の高い根菜類を産出しています。当地の栽培環境は全国的に見ても「指折りだ」と他所の農業関係者からも言われます。目の細かい砂地の土壌と、沿岸部にもかかわらず地下5~6mに豊富な真水が存在するのが布引の大きな特長です。畑の横に掘った井戸から汲み上げた水を、水捌けの良い畑にたっぷり与えて作物を育てています。
 布引は江戸時代まで、蛇行する紀の川の河口でした。城下町の造成や都市防衛などを目的に、川筋は現在のように北へ移動したのですが、地下には伏流水の路が残ったと言われています。

産物の魅力を仲間と追及  非常に恵まれた栽培環境を有していますが、宅地とも隣り合わせで面積も狭く、大規模農業を展開するような場所ではありません。小さな家族経営の農家が集まって産地を形成しており、今後の継続は大きな課題です。
 食べてくれる人に少しでも良いものを届けたいという思いで、当地の生産者はみんな熱心に農業に向き合っています。特に、若い生産者などは新しょうがの食べ方や利用方法も色々と研究しており、私も新しょうがの千切りなどは、まだまだ活用範囲を広げられると感じています。実は若い頃は新しょうがの甘酢漬けが苦手だったんですよ。しかし、年齢を重ねるととても美味しく感じるようになりました。そのような自分の変化もヒントにして、食卓での楽しみ方も模索しながら、布引ならではの高品質な新しょうがを提供し続けたいと考えています。


和歌山の新しょうが

 和歌山市では、海辺に近い砂地と豊富な真水により、きれいな形と抜けるような白い肌を有する新しょうがが生産されます。瑞々しくて繊維質が少なくて柔らかく、爽やかな辛みと上品な香りが特徴です。ちなみに、新しょうがと生姜は同じもので、収穫後にすぐに出荷すると新しょうがとして流通します。一方、2か月程度の貯蔵期間を設けて、外皮が白色から飴色に変わり辛みや香りが強くなったものが囲い生姜であり、一般的にはこれを生姜と呼びます。

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