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生産者の声
かぼす(大分一号)
藤原輝幸さん(58歳)
大分県臼杵市
かぼす、
白ねぎ、米 生産者

かぼすはあらゆる料理を
美味くする
三百年以上の歴史を持つ
県の名産品です

 大分県は国産かぼすの生産量の98.5%を占めます。江戸時代中期の1695(元禄8)年に臼杵市内に6本の苗木が植えられ、そのうちの1本がかぼすの元祖木になったと伝わります。元祖木は1988(昭和63)年に残念ながら枯れてしまいましたが、枯れる前に元祖木の穂から育成した樹を二世として育て、さらに2年前に二世も樹勢が弱まったので、同じような処置をして現在は三世がこの圃場の近くで実をつけています。元祖木からは多くの穂が取られ、その兄弟や子孫は「大分一号」という品種名で呼ばれ、大分県産の約70~80%がこの品種になります。

他の調味料系の柑橘との違い  調味料として使われる他の柑橘類と比べて、果汁が多いのがかぼすの特徴です。糖度は平均8~9度あります。外皮が青いうちはクエン酸もやや強く、甘みの中にまろやかな酸味を出してくれます。日が経つにつれてクエン酸の値は減り、甘みが増していきますね。
 私は食事のほぼすべてにかぼすを取り入れています。朝なら味噌汁に入れると、まぁ美味しいですよ。焼き肉のタレに絞れば、ほどよい酸味が効いて肉も食べ詰まりなくドンドンいける。何に入れてもとにかく食が進むんですよ。ある人は「スパイスではなく食事全体を引き立ててくれますね」とかぼすを褒めてくれました。私のようにかぼすのある食生活をしていると、ないと物凄く寂しくなるんです(笑)。
 長期間の保存は難しいので、我が家では早目に全部絞ってしまいます。鍋に入れて熱処理殺菌をすれば、腐敗するのを防げて1年は持ちます。コツは沸騰させる前に火を止めること。ペットボトルや一升瓶に入れて冷暗所などに常温で置いておけば大丈夫です。

予測できない収穫量  今年の生産状況は良くありませんでした。我が家でいえば昨年比45%の生産量です。昨年、一昨年の連続豊作が影響しました。通常は一年ごとに表年、裏年が来るのですがここ10年はその予想が外れるんです。樹の状態も良好で春に芽も出ていたのに駄目でした。はっきりとした原因は分かりません。暖冬や夏の猛暑、秋の雨などが影響しているんじゃないでしょうか。生産量が年によって大きく変わると、市場もお店も扱いづらいですから。少なからず平均になってくれるのが、自分達には一番良いんですけどね。
 今のところ来年は良くなる予感がしています。今年よりも多いことは間違いないでしょう。料亭などから要望がよく出ていた種無しのかぼす「大分果研6号」も2年後には登場予定です。かぼす愛好家の拡大に向けた起爆剤として我々は大いに期待しています。


かぼす(大分一号)

 大分県産かぼすの主力品種であり元祖。樹勢が良く花が付きやすい特徴があり県内での生産が広まりました。外皮の色持ちは平均的で、果形は綺麗な丸型種。実には約20個の種が入っています。藤原さんは「国産かぼすは大分県にしかない県が誇る名産品です。県内には実をならす樹齢100年を超える長寿木も多く存在しています。まったりとした風味がどんな料理の味も引き立てるので、一度食せばまた使いたいとなりますよ」と語ります。