全農
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 台地の多い大分県は、古くは米の栽培に向かない土地でした。そのため米が十分になかった時代に、小麦の栽培が早くから根付き、小麦を挽いて粉にしたものを利用した粉食の文化が発展します。平安時代から伝承されたといわれる「やせうま」や、田舎のご馳走を詰め込んだ「団子汁」、昭和初期につくられた「とり天」など、現在でも大分県のソウルフードとして県内で食されています。

家庭料理である「団子汁」や「やせうま」づくりの大ベテラン
「JAおおいた 大分市女性部」のみなさんに、2つの料理を解説してもらいます。

 「団子汁の麺は、小麦でつくった団子を伸ばしてつくります。指で一つひとつ伸ばしたものは、麺の縁が丸く残るんです。これが機械でつくった麺との大きな違いです。団子汁は麺にお出汁や野菜、味噌の味をしっかりとしみ込ませて、一体化させるのが本当の味。お出汁はいりこと昆布が基本。具は里芋や椎茸、人参など何を入れても構いません。お金をかけずに、小麦を含めて自分達でつくった作物をつかって、腹を満たす料理として考えられたのが団子汁ですからね。地元の農業祭のイベントで私達も出店する時があるので、その時に一度食べてみてください。食べた人にしか分からない『身にしみる美味さ』です」

 「やせうまの麺も、団子汁と同じようにつくります。茹でて黄粉をまぶすのが伝統的な味付けです。当地ではお盆に仏様にお供えするんです。名前の由来は諸説あり、その一つは平安時代に『八瀬さんがつくった美味いもん』ということから『やせ・うま』となったと言います。それぞれ形態は少し異なりますが、同じ『やせうま』という名前の小麦でつくる郷土菓子は北陸や関東、東海、関西などの田舎に伝承されているそうです。やせうまは私達の孫らも大好物でね。お盆の時には競い合うように食べていますよ(笑)」

 鶏肉に醤油や生姜で下味をつけ、小麦粉の衣をつけて天ぷらに。