全農
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生産者の声
夏秋トマト
高宮 利昌さん(53歳)
    恵 さん(妻)
熊本県上益城郡山都町
トマト、水稲 生産者

地域を引っ張る大人達の
わが町に対するプライドが
若者の夢や誇りを育むんです

子ども達が自信と誇りを持てる郷土に (利昌さん)
 私のTシャツに書いてある「蛍丸」というのは、当地にゆかりのある伝説の刀の名前です。この近くにある恵良城の城主が、戦いでボロボロになった刀を携えて帰城したところ、刀に蛍が集まって一晩で修復したと伝わります。最近ではゲームやアニメにも登場していますね。既に解散しましたが、私達も以前、地元の有志で立ち上げた地域振興が目的の法人を「株式会社 蛍丸」と名付けました。その法人で地元のバスケットボールチームの「熊本ヴォルターズ」をスポンサードしていたんですよ。「子ども達の夢を創り、その夢を育みたい」というヴォルターズの思いと私達の思いが一緒だったのが、応援するようになった大きな理由でした。
 私は、この地域に生まれた子ども達が、地元にプライドを持てるようになって欲しいんですよ。そのためには、大人が子どもに地域のことを教えていかなければなりません。だから先ずは、大人達が地域に対して誇りを持つ必要があるんです。私の周りでは50代以上の人は郷土に対する気持ちが非常に強いと感じます。もし若者が魅力を感じないなら、それは私たち世代の責任だと思うわけです。同じような中山間地域と比べて、当地の何が秀でている訳でもないし優劣をつけるものでもありません。どの土地にも、その土地にしかない、その土地の人にとっての価値や魅力があると思います。
 過疎化と少子化は当地でも進んでいくでしょう。我が家にいる4人の子ども達には「全員で高宮家を守れ」とだけ言っています。都会に出て応援するにしろ、どんな形でも良いので地域振興に貢献していけるような生き方をしてもらえると嬉しいですね。

美味しく育てるための大きな愛 (恵さん)
 主人が結婚を機に帰郷して家業である農業を始めた時に高宮家に入りました。最初の頃は妊娠と出産、子育てで農業にはあまりタッチしていませんでした。子どもたちがある程度手がかからないようになり、作業を手伝い始めたんです。非農家出身で会社勤めだったこともあり最初は農家の生活に驚きと感心の連続でした。1日24時間を上手くやりくりしながら、家事と農業を両立していく生活は面白いし良いなと思いましたね。
 主人はトマト栽培で大切なのは「愛情だ」といつも言っています。一つひとつの作業を適当にせず、手間をかけて世話をしてあげる。そうするとやっぱり美味しいものが実るんですよ。夏場の作業は本当に暑くて大変ですが、トマトのお陰でご飯が食べられるし、子どもも学校に行けるので本当に農業は遣り甲斐がありますね。


夏秋トマト

 昼夜の寒暖差の大きい気候の山都町は、熊本県でも有数のトマトの産地です。土づくりにこだわる生産者が多く、栄養価が高くてトマト本来の味わいがあると市場でも高い評価を得ています。恵さんはトマトを用いたデザートスイーツをよくつくるそうです。「湯剥きしたトマトにレモン汁とグラニュー糖を入れて一晩寝かせる。汗をかいた時に食べると、甘くて美味しんですよ」。