全農
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生産者の声 大根
露﨑春雄さん(72歳)
千葉県袖ケ浦市
大根、赤かぶ、黄人参、
人参 生産者

新鮮で美味しいうちに
食してもらいたいというのは
多くの農家に共通する思いです

 市場出荷から直売所での商売に完全に切り替えて15年くらいになります。自分で直売所を始めたのは約30年前で、当初は野菜が1つ売れただけで、働いている実感や達成感があり気持ちが高揚していましたね。直売所の「新鮮さ」という長所は、生活者だけでなく農家にとっても丹精込めた作物を美味しい状態で届けられる魅力があります。
 近年は、「ちばエコ農産物」の認証取得や化学肥料と農薬の使用量を基準値より低く抑えるなど、食の安全・安心を意識した栽培に力を入れています。大根の葉っぱを食べる機会が増えているので、一度も消毒作業を行わないで出荷する時もあるんです。ただ化学肥料を抑えている分、土中の窒素が少ないため、葉っぱ自体はあまり大きくならないんです。直売所の棚に並ぶときに見栄えがしないのは悩ましいところですね(笑)。

次の世代に託す思い  私は高校卒業後に外に働きに出ていましたが、親が農業の規模を拡大するタイミングで就農を決めました。それから約50年間、農業を続けてきて思うのは、やっぱり農業は楽しいということです。自分でつくった作物を自身で値段を決めて販売するというのは、最高のモノづくりだと思います。ただ、これは私の考えなので息子には「農業を選ばなくてもよい。自分の代で家業を終わらせても構わない」と伝えていました。しかし息子は、大手証券会社に就職して東京に出たのに、10年ほど前に「結婚するから会社を辞めて農家になる」と戻ってきました。
 息子は小さな頃から、農作業をよく手伝ってくれていました。息子に小遣いを渡したことはなく、農作業を手伝ったお駄賃だけを払っていたんです。中学生になると学校の友達を連れてきて、一緒に種まきをはじめいろいろな農作業をしてくれたので、みんなに1日いくらでお駄賃をあげていました。畑にたくさんの人がいると、とても賑やかで私も楽しかったですよ。息子にとっても友達が一緒だと、私がいつもの調子で息子に怒れないというメリットもあったと思います(笑)。あの頃のように息子は今でも時々、仲間を連れて来て農作業をしていますね。
 これまで息子に農業の技術を特に教えたりはしていません。「先輩の姿を見て真似て」で自分もやってきましたからね。農家は自分で考えて方法を見つけるものです。農業従事者が減っているので、息子には頼むぞという気持ちだけ。地域の畑を荒らさないよう「頑張ってくれ」としか言えませんよ。


大根

 富士山の火山灰土からなる柔らかい黒ボク土で育つ当地の大根は、姿かたちも美しく育ちます。露﨑さんは「とにかく根菜類は良く育つ場所です。大根と言ってもたくさんの種類があり、種苗会社に勧められた中から、生育の良いものを選んで栽培しているんです。硬さや形、味わいなどに違いがあり、サラダや漬け物、ブリ大根など、それぞれに適した調理方法があります」と語ります。

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