AGRIFUTURE_Vol.46
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P.06店などでも生まれていますし、私達生産者も地域との結びつきに目を向けるようになっています。 私も直売所で生活者から「夏場にほうれん草はないの?」と言われたのをきっかけに体験型農園を始めました。ほうれん草だけの問題ではなく、農業がどういうものか全然知られていないことに気付かされたんですよ。話をするより畑に来てもらえれば、農業や作物について色々と知ってもらえるんじゃないかと思ったわけです。 農業や食に一歩近寄るだけで随分と世界が開けて、もっと美味しく食べられると思うんですよ。体験に来る方の反応を見ているととても興味深いですね。農作物で良い実を育てるには、発芽した数を適量に減らす「間引き」が必要なのですが、初めての人はせっかく生えたものを引っこ抜くのは「もったいない」と言って中々できなんです。そういう体験をするだけでも、食べ物への対し方は全然変わるかもしれません。体験型農園で興味を深めた人が、クワイの収穫にパートで参加してくれたりしています。住民が近くにいて発信すると反響があるのは、都市農業ならではの良さかもしれませんね。 私は農業を継ぐことに抵抗はなかったんですよ。母親は昔から「我が家はクワイで食っているんだ」って言っていました。クワイがなければ私も大学に行けなかったでしょうしね。クワイは「慈姑」と書きます。私は自分の子供に「慈」の文字を用いるくらいこの字が好きなんですよ。知名度の低い野菜ですが、伝統野菜によくある奥深い味わいがあるんです。昔ながらの煮物はもちろん、素揚げやチップスにするなど近年は新しいレシピも色々と増えています。ぜひ一度、知らない人に食べてもらいたいですね。発信すれば反響のある都市農業農業のホント ホンネ ホンキ

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