AGRIFUTURE_Vol.46
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P.01武州さいたまを巡る取材先:JAさいたま かつての浦和、大宮、与野、岩槻の4市からなる政令指定都市さいたま市は、「さいたま新都心」を中心に、今も都市開発が進む人口127万人の大都市である。 一方でこの地は、古代から近代まで、農地開発が盛んに行われてきた歴史を持つ。特に、徒歩半日余りの距離に「江戸幕府」が誕生してからは、食糧供給基地として大規模な新田開発や灌漑用水の工事が行われた。代表的なのは市内のほぼ中央に位置し、現在でも約1200ヘクタールもの面積を有する「見沼田んぼ」である。この他にも、市の西境を流れる荒川沿いの「昭和耕地」をはじめ、綾瀬川、元荒川流域にも広大な農地が整備されており、現在でも、高速道路や高層ビルの至近で、米や野菜、植木、果樹、花卉など多様な農作物が生産されている。 都市化の波と農業離れにより、一時はこれら耕地の存続が危ぶまれたが、水害時における貯水池としての防災機能、歴史や文化的価値、景観や環境、教育における価値などが見直され、現在は行政や市民活動によって保全されている。また、近年は都市近郊農業を志す若手生産者も増えており、彼らが組織するJA青年部が2014年に新たに結成されるなど、さいたま市の農業事情は新しい局面を迎えつつある。 ある生産者は「農業のことをあまり知らない生活者でも、一度農作業を体験すると『食』への意識が大きく変わるんですよ」と語る。生産者と生活者の距離が近く、発信すれば反響のある都市近郊農業。その発展と、そこで汗を流し知恵を絞る生産者の活躍が、日本人の「食」に対する考え方を変えていくかもしれない。*JAさいたまの管轄地域は岩槻区を除くさいたま市です。高層ビルを背に実りを生み出す生産者たち埼玉県見沼区北区西区桜区南区大宮区中央区浦和区緑区見沼区北区西区桜区南区大宮区中央区浦和区緑区さいたま市

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