AGRIFUTURE Vol.55
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埼玉県久喜市菖蒲町に生まれた本多静六は、林学博士として日比谷公園や明治神宮、大宮公園など、日本各地を代表する数多くの公園の設計・改良に携わりました。関東大震災では、時の内務大臣から復興原案の作成を依頼されています。「街の植林事業は正しい手入れによって初めて防災機能を発揮する」という趣旨の言葉を残すなど、都市と緑の関係に深い造詣を持った人物で「日本の公園の父」と呼ばれています。「日本の公園の父」本多静六MEMO治水の歴史メモ見学会は無料・予約制です。詳しくは首都圏外郭放水路のホームページをご覧ください。URL:www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku首都圏外郭放水路(調圧水槽)の見学首都圏外郭放水路は中川、倉松川、大落古利根川など中小河川の洪水を地下に取り込み、地中50mを横断する総延長6.3kmのトンネルを通して江戸川へと放水する世界最大級の地下放水路です。平成5年に着工しおよそ13年をかけて平成18年6月に完成しました。世界最大級の地下放水路「首都圏外郭放水路」地形の問題に加えて東京から20~40km圏域にあるこの地域は、昭和中期になると急速な都市化が進みます。水田や緑地帯などが担っていた自然の力による貯水機能が激減したことなどが原因となり、洪水被害は増加の一途をたどります。そこで、水害から地域を守るために、これまでの治水施設の整備に加え、雨水が一気に川へ流れ込むのを防ぐ流域対策が進められるようになります。中川・綾瀬川流域整備計画が策定され、「首都圏外郭放水路」は計画の大きな柱として位置づけられました。地形の問題に加えて東京から20~40km圏域にあるこの地域は、昭和中期になると急速な都市化が進みます。水田や緑地帯などが担っていた自然の力による貯水機能が激減したことなどが原因となり、洪水被害は増加の一途をたどります。そこで、水害から地域を守るために、これまでの治水施設の整備に加え、雨水が一気に川へ流れ込むのを防ぐ流域対策が進められるようになります。中川・綾瀬川流域整備計画が策定され、「首都圏外郭放水路」は計画の大きな柱として位置づけられました。急速な都市化による治水機能の低下首都圏外郭放水路は平成14年の部分通水から平成28年12月までに105回の洪水調整を行いました。治水効果は大変大きく、中川低地(中川・綾瀬川流域)の浸水被害は大幅に軽減されました。首都圏外郭放水路をはじめ、人知れず活躍する治水施設があるおかげで、関東平野の暮らしや農業が守られているのです。人知れず街の暮らしを守る施設久喜市菖蒲町台267-5 本多静六博士生誕地記念園外郭放水路 完成前(平成12年7月)外郭放水路 完成後(平成16年10月)増水した河川の水を立坑に落とす→地下水路を経た水が第1立坑から調圧水槽(地下宮殿)へと流れ込む→調圧水槽の水を巨大ポンプで引き揚げ、排水樋管を経て江戸川へ排水する排水の概略全長6.3km埼玉県千葉県東京湾中川倉松川江戸川庄和排水機場第一立杭第二立杭第三立杭第四立杭第五立杭幸松川大落古利根川第18号水路取材協力・写真提供 : 国土交通省 江戸川河川事務所P.12P.12

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