AGRIFUTURE_Vol.47
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P.08牛はとてもかわいいんですよその命をいただくわけですからより美味しく安全なものを追求する想いは強いですね 菊池市の畜産はホルスタイン種の肥育からスタートし、黒毛和牛や、ホルスタイン種と黒毛和牛の交雑種などと、手掛ける種類を増やしてきました。畜産では水をいかに飲ませるかが重要なんです。適切な水分摂取によって病気になりにくく餌をよく食べるようになります。菊池は「水の美味い場所」ですから肥育をするのに良い環境なんですよ。 乳牛であるホルスタイン種でも当然、乳の出ない雄が産まれます。菊池では主に北海道から雄の子牛を仕入れて肉牛に育てているんです。菊池ではエコと米を掛け合せた「えこめ牛」というブランド名でホルスタイン種を売り出しています。菊池の米を飼料に一頭当たり300kg混ぜて食べさせて育てるんです。牛の飼料はアメリカなどから輸入するトウモロコシを主体としますが、地元産の米に代替えすることで輸送にかかるCO2を削減できます。また、高齢化や米価低迷によって水田が減少している問題にも貢献できます。水田の減少は地下水の減少につながるんですよ。ですから、水の国・熊本を維持する一端も担っていると言えますね。 牛は顔もかわいいし、餌をやるときに寄って来たりして本当に愛おしい存在です。ペットではなく経済動物として約1年間、世話をするわけですが、出荷する時は寂しい気持ちになります。随分前に出荷したのに、今でも覚えている牛もいますからね。畜産農家は畜霊祭を欠かさず行いますし、我が家でも自宅の畜霊碑に毎月、花をお供えして手を合わせています。命を犠牲にして私たちの食料になってくれているので、生活者のみなさんにはありがたいという気持ちでなるべく残さずに美味しく食べて欲しいと思っています。 農業に従事していると、ホルスタイン種も雄を産むとか、水田は地下水に影響するなど、自然や環境、農業の「当然」は意外と知られていないと感じることが多々あります。美味しい「えこめ牛」を追求して広めていく中で、それらの当然も知ってもらえれば良いなと思っています。そのためにも、私たち生産者は地域で循環する仕組みを増やしながら、より安全で安心して食べてもらえる国産食料を届けるために力を尽くします。水の国を守る地元ブランド自然や環境、農業の当然農業のホント ホンネ ホンキ青木祐也さん(41歳)熊本県菊池市畜産農家

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