AGRIFUTURE_Vol.45
6/16

P.05 「ときわにんにく」はこの土地で40年以上の歴史を持つ特産品です。ニンニクは収穫した2割を翌年の種に回します。病弱な実を排除しつつ、良質な種を40年以上にわたって毎年選抜淘汰し、この地域と種の適合性を磨き続けてきました。近年では他地域から優良な種を購入したり、安定的に優良種子が手に入る成長点培養という新技術の導入も加えながら産地化を進めてきました。現在の部会では、40年間の選抜淘汰という先人達の積み重ねを大切にして、今まで以上に津軽の土地に合ったニンニクを追求し、若い人達につなげていく取り組みに力を入れています。 今の60代や70代のお爺ちゃんお婆ちゃんが40年間、一所懸命に「ときわにんにく」を地域の名の元に協力して育ててくれたから今があるんです。売価が高いからといって利益優先で個人販売に走ったりせず、地域の共同出荷・販売体制を守り続けてくれました。おかげで現在も90%以上の共販率を維持しています。 産地化が確立されると、良い品が適正な価格で生活者の手に届くようになります。一人だと1年1回の栽培経験しか得られませんが、10人集まると10の事例を知ることができます。技術を共有することで品質の精度が上がりますし、数量を確保できるので値段も安定していきます。 昨今の農政は個人の成功例にスポットを当てていることが多い気がします。国家予算を用いて一人を育てるのは簡単でしょう。確かにその個人は潤いますが、将来的に何が残っていくのかとても疑問です。これから本当に大事なのは、地域に根ざした産地形成をして、国内の農家を全体的に盛り上げていくことだと思います。TPPが本格的に始まり、農村社会は崩壊の危機に直面していると感じるわけです。外国産に飲み込まれて地域の特産地化が価格の安定を生む個人ではなく地域で潤う横山英樹さん(57歳)青森県南津軽郡藤崎町ときわにんにく生産者富裕層に向けた金儲けの農業なんて邪道です農業とは、自分の地域や県民、国民の心とお腹を満たすために汗を流すことです

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 6

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です